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誤作動は2つに分けることができます。配管の破断による誤作動とヘッドの誤作動です。
配管の破断による誤作動の原因は配管接続工事でネジ切り工法を採用しているからです。ネジを切れば当然配管の肉厚が減り地震の揺れに対する強度が落ちてしまいます。
対策として肉厚の減らない転造ネジ工法が勧められていますが、コストの問題でほとんど採用されていません。
ヘッド誤作動の原因は地震による天井の揺れと、ヘッドが取り付けられている配管全体の揺れが異なる動き方をするために起こります。天井材を貫通しているヘッドが同材と強く擦れる、または天井材と衝突することにより誤作動を引き起こします。
東日本大震災では関東、東海の多くの建物で、また関西では高層ビルにおいてもヘッドの誤作動は起きていました。
対策として耐衝撃型ヘッドが推奨されていますが、どれだけの効果があるか実証されていません。
東日本大震災でスプリンクラーが誤作動を起こし、ビルに入っていたラジオ局が水浸しとなり災害時の情報発信ができなかったと、第26次消防審議会で報告されていました。
免震建築物は周囲に設けられた擁壁等との間の水平距離(クリアランス)を、大凡60cm設け免震装置の動きを損なわないようにしてあります。しかし熊本地震では病院の免震装置が震度6弱で罫書き式の変位計が最大90㎝の振幅を示し、免震装置の上部と下部が横方向にズレ、押し潰された映像が放送されていました。
免震装置はどれだけの振幅に耐えられるのか、またどれだけの回数に耐えられるのか、明快になっていないのが心配です。
地震対策というと免震装置など建築だけに頼る傾向があります。残念ながらスプリンクラー設備における対策として挙げられているのは、耐衝撃型ヘッドおよびフレキの使用、支持金具の増設、配管周りの空間確保などです。このような対策はあくまでも推奨であり、また全て現場任せとなるため徹底するのは難しいと思われます。
配管を破断しないよう設備を強化する考え方もありますが、配管が損傷したとしても復旧まで日単位で対応できます。しかし配管の損傷と断水が重なり消火水槽が空になれば、断水の復旧には月単位を要します。
そこで考え方を減災に切り換え、特に公共の建物、病院、報道機関等の建物には、消火水を失う可能性の大きい湿式スプリンクラーは使用せず、消火水を守り消火機能を維持できる予作動式スプリンクラーを普及させることをご提案します。
関東直下、東海東南海地震では震度7弱が予想されています。このままではどれだけの建物が消火機能を失うことになるのか心配です。